こうしんじゅく(庚壬塾)が伝えたいもの
こうしんじゅく(庚壬塾)は、この春(4月9日)で、8周年を迎えました。
教室を開業したときは、ただ、役に立ちたい、という一心でした。
きっと、私にしかできないと思う。そんな気持ち。
パソコンは楽しい。だから一番伝えたいのはパソコンの楽しさ。
でも、それだけじゃなくて、もっと伝えたいことが、ずっとあって、私は、ことあるごとに、たぶんお客様にそのようになメッセージを送り続けていた、ということに、奇しくも、この開校記念日の日に、気づくことができました。
私の姉は、四肢と、それから言語にちょっとした障がいがあります。そのため、障がいのない私たちに比べたら少し不利な人生を送ったと思います。今となって考えると、それが結果的に不幸な人生だったわけではないと思うけれども・・・。
でも、姉が一番、必要としていたときに、パソコンという機械が気軽に買えるような世の中で、そして、私に、パソコンを教える能力があれば、あきらめなくてよい人生もきっとあったんじゃないか。私は今でもそんな風に思っています。
庚壬塾は、来てくれた人の「未来をカエル」ことができる教室でありたい。たくさんの可能性を広げて、やがてその人の「世界をカエル」そんなきっかけを提供できる教室でありたい。姉の歩く人生を後ろから見ながら、私は今の教室を作りました。
だから、この教室は、自分の姉や、それから離島に住んでいた、年をとった親にぜひ通わせたい、そんな思いでつくりました。
- たとえば、就職や転職を控えた若い人
- 職場に突然パソコンが導入され、逃げ切れずに困り果てておられる中高年の方、
- 遠くにお住まいの息子さんや、お孫さんと、気軽に交流がしたいおじいちゃんやおばあちゃん。
- 定年退職で胸にぽっかり穴のあいたような気持ちになっておられる60代の方。
- 子育てがひと段落して、何かやりがいのあることをしたくなった50代の主婦の方。
パソコンは、いろいろな人の、「未来」をかえ、世界を広げることができます。
今、教室では、二人の障がいのあるお子さんをお預かりしています。どちらも、手の指がうまく動かないので、鉛筆をもった文字が書きづらいのです。
でも、タイピングはとても上手です。もちろん障がいのない人に比べるとそのスピードはかなりゆっくりです。
お母さんは、はじめ、5本の指のすべてを使ってタイプするのは無理だろうと思われていました。
人の可能性って、すごいですね。親御さんが見ていて、とうてい無理だと思えることでも、いつの間にか、やれるようになるんです。力の入りづらい小指で、キーが自然に打てたときには、本人も大きな声をあげて、大喜びしました。
大切なのは、「きっとできる」と、信じることだったんだ、と思い知らされます。
自分の考えたことが、気軽に自分で文字にできるって、どれだけすばらしいことか。
私は昔、「国語」を教えることを生業にしていましたので、文字や文章を使って自分の気持ちを表現することの喜びも、そして大切さも、よく知っています。
「文は人なり」 書かれた文章は、その人の人格そのものだ、という意味の高山樗牛の言葉ですが、言い換えると、「文を書くことで、人は、人間として大きく成長できるのだ」ともいえます。
凡人の私にできることは、本当に小さなことですが、少なくとも、この2人の子供さんに、人としてもっともっと、大きく成長していく可能性を少しだけ、広げることができたのかもしれない、と思うと、それだけでも、自分がここに、小さなパソコン教室を開いたことに、大きな意味があったようにも思えます。
先日、帰り際に、ある60代の男性が言ってくださった一言
「ここは、ほんと、評判いいですよ。私も通うのが楽しみです。おかげで、パソコンに向かって文字を打ったりするのが苦にならなくなりました。」
タッチタイピングを、粘り強くマスターされたこの方の未来もまた、少しだけ、変えることができたのかもしれません。
庚壬塾が伝えたいこと。
「できる」と信じてください、ということ。
どんな年齢であっても、どんな状況であっても、自分自身にいろんな可能性が広がっていることを信じてほしい、ということ。
写真は、お客様からいただいたお花。冬の貴婦人と呼ばれる、「クリスマスローズ」です。花言葉は「いたわり」 やさしい花ですね。
この8年間に出会った、たくさんのお客様のおかげで、私自身の世界も広げていただきました。
心より感謝いたします。